身体操作について、次のように興味を抱いている人もいるかといるかと思います。
- どうすれば身体操作を学んだり身につけたりできる?
- 身体操作と武術は関係が深いと聞いたけど具体的にどんなふうに?
身体操作は、護身や介護、スポーツの技術向上など幅広い分野で役立つので、身体操作について知ることは大きなプラスです。
このページでは、「身体操作とは何か」という基本的なところから、身体操作と武術の関係、自宅で簡単にできる身体操作のトレーニング方法を解説します。
身体操作について知るための足がかりとして、ぜひご活用ください。
目次
身体操作とは?
身体操作とは、自分の身体を効率的に使いこなす技術です。身体への負担を小さく抑えて大きな力を出したり、自分の意思と反して身体のバランスが崩れないようにすることをいいます。
具体的な例としては、次のようなものが挙げられます。
- 疲れにくい立ち方や歩き方
- けがをしにくい転び方
- 腰などを痛めにくい重量物の運び方
身体の使い方を知って練習すれば、上記のような身体操作ができるようになります。
身体操作と武術の関係
身体操作を身につける方法の1つとして、武術があります。身体操作を身につけたいと思っている人には、武術に挑戦してみることがおすすめです。
「そもそも武術とは何か」「武術で身体操作が身につく理由」を解説します。
そもそも武術とは?
武術とは、人間を相手に戦うことを想定した戦闘技術全般を指します。素手で戦う空手や柔道はもちろん、剣術や槍術(槍を使って戦う技術)も武術の一種です。
もっと広くいえば、馬術や砲術(火縄銃や大砲を扱う技術)も武術に含まれます。
これらのなかで、身体操作ととくに関係が深いのは、空手や柔道、合気道、古武術など、自分の身体を使うことがメインの武術です。
ただし、これら以外の武術が身体操作と無関係なわけではありません。
たとえば、馬術は馬がより走りやすいよう、騎手が適切な重心移動をする必要があります。また、万が一落馬したときのため、けがをしにくい落馬の仕方を身につけておくことも必要です。
重心移動も、けがをしにくい落馬の仕方も、身体操作の1つです。
武術で身体操作が身につく理由
武術で身体操作が身につく理由は、武術の基礎が身体操作だからです。
先ほど馬術で例に出した重心移動は、空手や柔道、合気道など、多くの種類の武術の基本です。
適切にスムーズに重心移動できるかどうかで、空手の蹴りや突きの威力も、柔道や合気道の技の精度も大きく変わってきます。
武術を磨くのであれば、身体操作は避けて通れません。このため、武術をしていれば身体操作も自然に身につくのです。
身体操作は何の役に立つ?
身体操作が役立つのは武術だけではありません。次のような分野でも、身体操作が役立ちます。
護身
護身とは、読んで字のごとく、自分の身を自分で守ることです。襲ってきた相手を倒すことではなく、次のように幅広い意味で自分を守ることを指します。
- 転んだときに頭や顔を守って上手に転ぶ
- 人がぶつかってきても簡単には倒れない
- 緊急事態が起きたとき、固まって動けなくなるのではなく、とっさに走って逃げたり、重量物を軽々持ち上げたりできる
身体操作を身につければ、上記のようなかたちでけがを防止したり危険を避けたりしやすくなります。
介護
介護で必ず必要になるのが、要介護者(介護を受ける人)の身体を支えたり運んだりすることです。要介護度が高いほど、このような力仕事が多くなります。
このとき、身体操作の技術が身についていれば、自分の身体にかかる負担を最小限にして、要介護者を支えたり運んだりできます。
スポーツ
身体操作は、スポーツの技術力向上にもつながります。
たとえば、身体操作の一環である重心移動は、サッカーやテニスなどの球技でも役立ちます。重心移動を適切に行えれば、身体全体の力でボールを蹴ることやラケットを振ることができるからです。
球技で身体全体の力を使いこなせるようになることは、より勢いが強くより早い球を蹴ったり打ったりできるようになることを意味します。
【誤解注意】喧嘩や腕相撲に強くなるわけではない
身体操作に対して「強そう」とイメージしている人もいるかもしれませんが、身体操作の技術を身につけたからといって、喧嘩に勝てるようになったり腕相撲に強くなったりするとは限りません。
身体操作は、「腕のみではなく、身体全体の筋肉を上手く使うことで、重いものを効率よく持ち上げる」など、あくまで自分の身体を使いこなすことであり、相手を倒すことが目的ではないからです。
身体操作の基本
身体操作とひとくちに言っても幅が広いですが、基本的なこととして次の4つがあります。
【大前提】体幹が大切
体幹とは、身体の胴体部分のことです。この部分には、胸筋や背筋、腹筋など大きな筋肉が集まっており、身体全体の動きに大きく関わります。
体幹がしっかりしていれば、体勢が崩れにくくなり、自分の身体をコントロールしやすくなります。
内側の筋肉(インナーマッスル)を使う
インナーマッスルとは、身体の内側の方にある筋肉のことです。例としては、横隔膜(おうかくまく)や腹横筋(ふくおうきん)が挙げられます。
インナーマッスルを使うことで、アウターマッスル(外側の筋肉。インナーマッスルの逆)を使った場合よりも、小さな動きで大きな力を出せるようになります。
正しい姿勢を身に付ける
正しい姿勢を身につけることで、何か動作をしたとき、身体のバランスが崩れにくくなります。身体のバランスが崩れないようにすることは、身体操作の基本です。
正しい呼吸法を身に付ける
正しい呼吸法を身につけることで、小さな動きでより大きい力を出せるようになります。
人間の筋肉は「息を吸っているか吐いているか」で動きが変わってくるからです。
たとえば、息を吐きながらするべき動作で呼吸が止まっていると、息を吐いていれば出せた力を出せません。筋力トレーニングの方法に、「息をゆっくり吐きながら〇〇しましょう」などの解説があるのもそのためです。
身体操作のトレーニング方法
身体操作に関連するトレーニングは数多くあります。ここでは、これらのトレーニングのうち、初心者でも自宅で気軽にできるトレーニング2つを紹介します。
ドローイン
腹横筋(ふくおうきん)や内腹斜筋(ないふくしゃきん)などのインナーマッスルを鍛えるトレーニングです。
インナーマッスルを鍛えることで、動きが安定しやすくなります。
やり方は以下です。
- 仰向けになり、ひざを90度曲げます。
- お腹をふくらませながら、ゆっくり大きく息を吸う。
- お腹がふくらみきったら、お腹をへこませながら、ゆっくり息を吐ききる。
上記の3ステップを繰り返しましょう。やっていることは主に呼吸ですが、これだけでもインナーマッスルが鍛えられるのです。
回数に制限はありませんが、まずは10セットほどやってみると良いでしょう。
スライドスクワット
重心移動の感覚をつかむトレーニングです。
立った姿勢で両足を左右に肩よりも広く開き、腰を落とした姿勢で、次の動作を繰り返します。
- 左ひざを伸ばして、右ひざを曲げ、上体を右に傾けます。
- 右ひざを伸ばして、左ひざを曲げ、上体を左に傾けます。
ポイントは次の2つです。
- 重心の高さを一定に保つこと
- ひざがつま先よりも前に出ないようにすること
回数にこれといった制限はありません。毎日こなすことで重心移動の感覚をつかめるようになります。
身体操作には武道の気も必要
身体操作を本格的にできるようになるには?
身体操作を確実にできるようになるには、プロに教えてもらうのが1番です。自分でトレーニングするだけでは、「今の練習方法に間違ったところがないか」「身体操作が本当に身についているのか」などのことがわかりません。
プロの指導付きであれば、間違っているところを指摘してもらったり、身体操作が身についてきているかどうか評価してもらったりすることができます。
「あなたにはこういう傾向があるからこの練習方法がおすすめ」など、個人個人に合わせたアドバイスもしてもらえるでしょう。
まとめ
身体操作は、けが防止や介護、スポーツなど、さまざまなところで役立ちます。
身体操作の基本は、インナーマッスルを使うことや正しい姿勢、正しい呼吸法など、練習すれば誰でも身につけられるようになることばかりです。
身体操作にちょっとでも興味のある方は、『身体操作教材動画』についてご覧ください。